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柚子胡椒風味うどんを食べて考えたこと

2016年03月24日

udon20160324


昼、外で食べたい時は事務所から徒歩2分の
うどん屋さんへ行くことが多い。

月替りの看板メニュー、
「菜の花と鶏肉の柚子胡椒風味うどん」が
好みのど真ん中を突いていて、
先週は2回、今週はたしか、3日連続で食べに行った。

全国チェーンの店であり、
注文→受け取り→会計までが学食方式のワンウェイで済み、
しかも大半の客が連れのいない「おひとりさま」なので、
さっと入り、さっと食べるのにはもってこいである。

ところで、計5回同じものを食べて、分かったことがある。
店員さんによって、できあがりの姿が全く異なるのだ。

1、2回目の「うどん担当」
(ほかに、「天ぷら担当」と「お会計担当」がいる)は、
30代前半くらいの男性だった。

菜の花、鶏肉、そしてわかめ(品名にはないがたっぷり入っている)が、
どんぶりの中央で渾然一体となっている。
だし汁をれんげで掬って一口飲んだ瞬間、
柚子胡椒が香り、後をひく。
途中、柚子胡椒が集中している部分があり、少しむせた。

3回目、「うどん担当」は60代以上と思しき女性だった。
(偏見と言われればそれまでだが、おそらくは)何十年も
家庭の台所に立って、家族に料理を出してきたであろう
おばちゃんである。

彼女から差し出された丼を一瞥して、はっとした。
3種の具が、フランス国旗のようにきれいに整列していたからである。
さらに注目に値するのは、親指大の柚子胡椒が丼のフチに
つけられていることであった。
「お好きな量を」「お好きなタイミングで」加えて下さい、
という設計である。

この日は、最初にプレーンのだし汁を飲み、
その後少しずつ柚子胡椒を加えていくわくわく感を胸に、
3種の具を計画的に食べ進んだ。
なにより、作り手の配慮を感じる盛り付けは、やはりうれしい。

帰り道、
「チェーンの飲食店における標準化」という問題が
頭をかすめた。
ただしいレシピ(盛り付け方含む)にのっとっている
「うどん担当」はいったいどちらなのか?

そして4回目、「うどん担当」は、
先週の人物とは違う、30代男性である。
若干身構えながら、差し出された丼を見る。

どっちだ──

具材は、地図記号でいうところの「茶畑」状に盛り付けられており、
柚子胡椒は、フランス国旗のおばちゃんと同じ、「丼のフチ」方式だった。

第3のレシピに出会ってしまった。

おそらく、柚子胡椒のあるべき姿は「丼のフチ」と見て間違いないだろう。
具材の配置については、もはや知る術がないが、
きれいに盛り付けようとする配慮を感じる4回目よりも、
“一緒くた”な1、2回目の方が食べやすさ・見た目の両方において
上だったのは不思議である。


サービスの「標準化」を考えたとき、
消費者の立場であれば、
もちろん「アタリ・ハズレ」の「ハズレ」の方にはあたりたくない。
まっとうなレベルでの「標準化」が果たされていることを望む。

そして、「提供者」として、自分の仕事を考えてみた。

同じ情報提供を受けて、
成果物の要点について同じ指示を貰ったとしても、
できあがる文章は
大げさな表現をすれば書き手の数だけ異なったものになる。

しかも、アピックスのクライアントは、
提供されるサービスを比較検討して評価することはできない。
アピックスへの依頼、一本勝負である。

「レシピ」や、分かりやすい「標準化」の物差しなど存在しない
文章という商品だからこそ、
待ってくれているお客様には、
ほかの誰がつくるよりも喜ばれるものを──そんなことを思った。


sora



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