FC2ブログ

「柔らかさ」の源泉

2016年03月16日

respect.jpg

先日、取材で某光学機器メーカーを訪れた。

2000年代初めに
国内大手光学メーカーの不採算部門が本体から分離し、
仏の老舗メーカーとの合弁により誕生した企業である。

シェア80%を占める最大手と同15%の2番手が双璧をなす
国内市場での船出は厳しいものだったが、
日仏両社の強みを発揮することで着実に躍進を遂げ、
発足11年目にはシェア20%超を獲得するまでになった。

順風満帆。
そう思われたが、ほどなくして荒天の兆しが訪れる。
最大手と2番手との提携である。

御社にとっての影響は──?
競合2社の提携について、そう投げかけてみた。

問いを引き取ってくれたのは、フランス人の副社長だった。
身長190cm以上はあろうかという体躯に、
柔和な雰囲気をまとった人物である。

──この合従連衡により、国内市場のおよそ50%の行方が決することとなった。
  大きな脅威であることは間違いない。
  彼らが持っていない技術やマーケティングのあり方を模索し、
  確立することがcompeteするための必須条件である。

ガリバーに対峙する術をそう述べた後で、
さらに次のような言葉をつないだ。

──企業がいつまでも成長、発展を続けるためには競合の存在は不可欠。
  彼らのことは、大好き。

その顔には、
この日1番のチャーミングな笑みが浮かんでいる。

逆境といえる状況下でのステートメントはとかく、
重くて硬く、表情はしかつめらしくなりがちである。
ましてそれが、「競合について言及する経営幹部」となれば──。

自分が抱いていたイメージとは180°異なる「答え」に
見惚れながら、気づけばこちらも笑顔を返していた。


取材の冒頭、普及版担当(アピックスは正史担当)のライター氏からの
──異なる文化を持った2社の合併において最重視してきたものは?
との質問に、「respect」と即答した副社長。

ライバルを見据える眼差しの根底にあるのも、
きっとその心であるにちがいない。


sora



最新記事