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無料コンテンツの落とし穴

2016年03月08日

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東村アキコ氏の「ヒモザイル」という漫画が
一話無料公開しており、炎上した。
インターネット上で批判が相次ぎ、東村氏自ら謝罪、休載となった。
この件から考察したいのは「無料コンテンツ」の危うさである。

“自身の冴えない男性アシスタントを立派な「ヒモ男」に育て上げ、
 バリキャリ30代女性とマッチングさせる”

という内容にあらゆる方向から批判が殺到したわけだが、
この作品はコミック販売にしていればなんの問題もなく、
むしろヒット作になっていたと思う。

過激な内容ではあるがおもしろいし、
話題性があるからこそ炎上したとも言える。
東村氏の別作「東京タラレバ娘」も、
かなり過激な内容ながら売れている。
「ヒモザイル」も批判が飛び交う反面、
応援する声は多かったのだ。

インターネットが普及して、情報が無料で得られるようになった。
今となっては当然のことなので忘れてしまいがちだが、
無料と有料では集まる客層がまったく違う。

「ヒモザイル」炎上事件は、
その客層の違いを踏まえずに情報発信すると
痛い目を見る、という典型的な例だ。

まず、有料コンテンツの場合、
ユーザーはそれに課金するか否かを判断する。

その時点で、コンテンツとユーザー間でのマッチングが図られ、
親和性の高い者のみが結合する(購入する)。
コンテンツに対して異を唱える可能性の高い者はふるいにかけられ、
精査される(購入しない)。

しかし、無料の場合は課金というハードルがないので、
一切精査されない。
フリーパスで入場してきたマッチング度の低いユーザーは、
すぐにコンテンツ批判をする。
なんの対価も払っていないため、内容の吟味をせず、
見た目だけで判断する場合もある。

これは、ラーメン嫌いがラーメン屋に上がり込み、
「なんだこれ、ラーメンじゃないか」
と見るなりクレームを入れてくるようなものだ。
(しかもその人たちはお金を払っていかない)

もちろん、コンテンツの質によってマッチングの割合は上下するだろうが、
趣味嗜好が色濃く反映される分野での無料提供はリスキーである。
認知度を上げたい場合は無料配布してもいいが、
その分批判も多くなるだろうことを覚悟すべきだ。

ここまで無料ユーザーの批判を悪質なもののように述べてきたが、
究極、批評は自由である。
藤子・F・不二雄氏の「エスパー魔美」という作品に、
思わず唸ってしまうような言葉がある。

「公表された作品については、みる人ぜんぶが自由に批評する権利をもつ。
 どんなにこきおろされても、さまたげることはできないんだ。
 それがいやなら、だれにもみせないことだ。
 剣鋭介に批評の権利があれば、ぼくにだっておこる権利がある!
 あいつはけなした!ぼくはおこった!
 それでこの一件はおしまい!!」


東村氏も「怒っておしまい」にして、
謝罪などせず、制作を続けてほしかった。
そうでなければ、無料公開するべきではなかったのだ。

hagi


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