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ございませんでした。

2016年02月12日

kuronekoyamato


森健著の『小倉昌男 祈りと経営』を読みました。

小学館ノンフィクション大賞の選考委員全員が満点をつけ、
その委員に関川夏央さんと平松洋子さんが入っていること、
企業関係の書き物を仕事の中心としていること──などもあり…

若いころに障がい者の問題に少しかかわっていたので、
経営者として名高い小倉さんが、
私財をなげうって福祉財団をつくった理路も
知りたいということもあったでしょうか。

小倉さん個人と家庭に深く踏み込み、
一歩間違えるとプライバシー暴露モノになる内容ですが、
当たり前ですけれども、そうはなっていません。

強い印象を受けたのは、
何かすごい取材だなあ、ということです。

「なぜ」という素朴な疑問を出発点に、
面識もなかった第三者が他の組織、家庭、個人の中に入っていき、
ましてや私生活のネガティブな話まで引き出すことは、
相当な信頼関係がないとできない。

敬意と好意を土台に、
膨大な事前準備を重ねて小倉さんの理解に努め、
テーマを練り上げて伝えたいメッセージを伝え、
おそらくは了解がなければ書かないという損得抜きの姿勢まで示して、
時間をかけて関係を深めていったのだと思います。

もちろん、観察者・報告者としての冷静な眼と距離も維持しつつ。


森さん、7歳年下なんですけども、
自分はこういう関係を成り立たせられる人柄や識見、
誠意と礼節をもっているか、
と思わず自問して忸怩たる思い。

「昔なら定年なんだよなあ」とか
言ってる場合ではございませんでした。


moon hill



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