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ピラニア

2013年08月30日

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業種柄、社内ではふとした瞬間に本の話題に花が咲く。

鈴木さんと、アルバイトの二人(岩嶋さん・馬場さん)との四人で
パエリアを食べていたときのこと。
(社内ではなく夜の新宿です)

何の連想からだったか、
堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』に話がおよび、
鈴木さんと、馬場さんとの間に花が咲いた。

岩嶋さんと私は、パエリアに集中しながら
耳を傾けていた。
(しかし岩嶋さんは堀江さんの授業を取っているくらいだから、
この作品もきっと読んでいるんじゃないかな。)

つい先日、
別の本を探して入った本屋で、こっそりと(?)
『雪沼とその周辺』を購入。

一篇読んではパエリアの晩を思い出し、
また一篇読んでは……というのはやや誇張だが、
ああ、もっと早く読んでいれば!
と思うくらいに面白い。
まだ読了はしておらず、今朝、
電車の中で「ピラニア」という一篇を読んだ。

手抜きはしていないが、
取り立てて探究心を持たずにウン十年店を続けている自分。
……という「自画像」を持つ中華料理店の店主が主人公。

実際には、近隣の中華料理店のなかでは
断トツの美味しさで、その味を誰もが認めているのに、
美味しいと言って目を輝かせるお客
(ただのお客ではないのですが)を前にしても、
とてつもなく腹が減っていればどんな料理でもとびきり美味しく感じるさ……
と思ってしまうような人。


この数日で、
原稿への「お褒めの言葉」を続けていただく機会があり、
嬉しさにぷるぷるしていた。
そんなタイミングで、
この掌編に出会った意味は大きいような気がする。

自分の力量を低く見積もるのが良いとは思わないが、
「これだけできた」「これだけやれる」という気持ちが
大きくなりすぎたら、だめだな、という自戒。

ひとことで言えば謙虚さ…になるのでしょうか。
と、おそらく作者の本意からは少しずれたところに感じ入り、
ページを繰っておりました。


恋をすると素敵な(?)脳内物質がたくさん出るというけれど、
褒められたときにも、やっぱりかなりの量のそれが出ている気がします。

ちょっとやそっとじゃ、ピクリともときめかないわよ私は。
[足を組んで髪をかき上げる仕草]

──という境地にたどり着くのはいつになるかなぁ。

sora



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