FC2ブログ

わけ知り顔の人

2010年09月01日

IMG_5903

晩年、木下恵介さんのチーフ助監督を務めた
横堀幸司氏の著書『木下恵介の遺言』を読んで、
ドキッとしたことがある。

「誰かが死んじゃったあと、なんだかんだとその人を
 わけ知り顔に書く奴は、みんな根性が卑しいんだ。
 ボクは、小津さんや渋谷実さん(映画監督)や
 田中絹代さんのこと書いたもんなんて、
 絶対読みたくないし読んだことさえない。
 お前、そんなもの決して書くんじゃありませんよ」

著者が、師と仰ぐ木下恵介さんに言われた言葉である。

私は『サラブレッド101頭の死に方』を企画し、
取材・執筆する際、いつも、こう自分に問いかけた。

「この馬の生きざまをきちんと受け止め、その一生に恥じない文章を書けるか」

そして、墓があれば必ずお参りした。
その生きざまの一端でも描かせていただくことへの感謝の気持ちを込めて。

ひとつの人生、生きざまを描く、ということは重いものである。
とくに、出版物は長い年月残ってゆく。
そして、その背景には多くのファンも存在する。
取り上げるすべてに対して、全力で立ち向かわねば罰があたる。
生半可の気持ちではなく、その行き様に惚れ込む必要がある。

「なんだかんだとその人をわけ知り顔に書く奴」
と言われないだけの、誠意と気持ちを込めて。

Taka



最新記事